密室殺人事件なのに、少しも謎解きの場面がおもしろくない。でも、面白い。


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タイトルの通り、この小説の世界は密室でできている。
密室、密室、密室なのです。
殺人の連続なのです。
それを中学生の名探偵ルンババ12が簡単に解き明かす。
複雑系の密室なのに、少しも謎解きが楽しくない
実は、この作品、私はミステリー形式をとったエンタメ小説ではないかと思うのです
話しは面白い。
でも、ミステリーとしては?
主人公たちも登場人物たちも予測不能な行動をとり変な風に転がっていき
殺人事件が出てきて解決となり、また、動き出します。その繰り返しです。
もしかすると、この小説は密室がどうしてできたのか
その理由の方に重点を置いていて、密室のトリックはどうでも良かったのかもしれません
密室って何なのか?
何のために密室を作るのか?

大雑把にストーリーを説明すると男女のトラブルに巻き込まれて怪我をし
埼玉まで連れていかれる僕
この女性は井上椿。上司と不倫中で女性の恋人がいるという
刑事に言わせると変態だそうです
その魔の手から解放され、妹の井上えのきの無免許の車で東京まで
椿の恋人の家族が殺されていた密室殺人が起きる
一家皆殺し。死体が移動。
その一家の赤ちゃんを椿は奪って逃走
その椿の家で密室状態で恋人が死んでます
ダイイングメッセージは<あ>
どう考えても椿しか犯人がいない状況ですが
犯人は椿ではありません
こんな感じの事件が最初にあります。
続けて、また密室事件が出てきて解決するという話しです。

最後は名探偵ルンババ12が家族に密室に閉じ込められ
昔、同じ部屋に閉じ込められた涼ちゃんて子の死因を身をもって解明するのです

ラスト、ルンババが屋根の上にあがり火をつけます
そこで僕やえのきが下に布団をしいて着地できるようにします

この時、「それて死んでもいいわ」と僕は思うんだけど
その理由がかわいい
密室に両親に監禁されていたルンババに同情したえのきが
梯子に上って様子を確認し同情して頬にキスをしたから
それを嫉妬してというのが最後に告白されて終わり

このラストシーンが好きです
名探偵ルンババ12と僕のえのきを巡る三角関係
これも1つの密室が作り出した謎・・・


☆☆☆☆ の 楽しい作品でした。
2019  6/26