武藤吐夢@ BLOG

令和になって読んだ本の書評を書いています。 毎月、おすすめ本もピックアップしています。

カテゴリ: 忍丸

妖怪退治の話し、禁書をすべて暗記している少女がリーダーです。


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わが家は幽世の貸本屋さんの作者の忍丸さんの作品。
中華風妖怪退治の話しです。
短編集です。

【目次】

一章 怪奇腫瘍事件
二章 樹木流血事件
閑話 少女上司の禁書事情
三章 寵姫離魂事件
四章 生贄事件
終章 これからの物語

この国は、偉大な先王の法によって妖怪
ここでは、 怪力乱神 怪異の存在しない国ということになっている。
しかし、後宮にはたくさんの 怪力乱神 が存在してて
国王直属のゴーストバスターズ 祝部 が その仕事にあたっていた。

その組織のリーダーは少女で
ほかに、強面の料理人 イケメンの宦官がいて
そこに科挙トップ合格の青年が入り
その青年の視線で物語は語られます

この少女、先王の娘です。
先王によって妖怪の本は禁書になっている
そのすべてを彼女は暗記していて
その知識で事件を解決します

中国の古い妖怪の話しとか
色々あり面白い内容になっています

禁書を丸暗記という設定は、とある魔術の禁書目録に何となく似ている。

最初の事件 
怪奇腫瘍事件は 人面瘡

樹木流血事件は、木を切ると血液が吹き出るという怪異の話し

寵姫離魂事件 と 生贄事件 は関係しています
龍の化け物が出てくるのだが、もともとは大蛇だったというところが面白い
龍は何かから進化しているという考えが中国にはあるみたいですね




2022 12 27
* * * *
読破NO212


後宮の禁書事情 (ことのは文庫)
七原しえ
マイクロマガジン社
2022-11-21






あやかしだって本を読みたいんだよ。




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表紙がかわいい。
舞台は幽世というあやかしの住む世界
そこに貸本屋のあやかしに拾われ育てられた人間の娘夏織がいた
夏織は、養父の東雲と二人で暮らしている
そこに、使役していた犬神を探す目的でやってきた祓い屋の水明という少年がやってきて・・・

物語の舞台は貸本屋で、そこの客や周囲の人間が絡んだ人情味のある物語になっていて
従来のあやかし物というジャンルによくありがちなバトルは少ない目になります
京極さんの小説をイメージしているとびっくりしますよ
これはとても優しい話しなのです

短編小説のように1つ1つの話しが独立していて
ほっこりした雰囲気が漂っています
過保護なほどに心配する養父の東雲さん
母親代わりの薬屋のナナシ
烏天狗の双子の兄弟に、猫の友達
キャラがいい

大きくな軸になっているのは
水明の犬神捜しなのだが
面白かったのは、はつと佐助というかわいい5歳くらいの蝉のあやかしの子の話しだ
10年前、二人と夏織はひと夏を越している
蝉の生命は儚い
目の前で死んだのだ
今回の二人は、二人の転生した存在
ほとんど前世の記憶はない
貸し出した本を彼らに読み聞かせする夏織
お決まりの別れ
生命が有限であるということを考えさせられる話しだった

それは、夏織とあやかしである養父の東雲の間にも言えることだ
あやかしの生命は長いが、夏織は人なので生命は短い

水明と犬神のクロの話しもそうだが
寿命や種族が違ってても
心は通じ合える
確かに、邪悪なあやかしはいる
でも、それは人も同じであり
孤独だからこそ、大切なものに対する愛情は深くなるというのが
この物語を読んでいて一番印象に残ったことだった。

軽い感覚で楽しめる話しでした。



2019  7/23
令和 40 冊目

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