インディアンのハーフの悪役の死に方が酷すぎる。どうしても、そこが気になった。



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たぶん、大人の見ている世界と子供の見えている世界は、かなり印象が違うんだと思う。
大人はわかってくれないと子供は言うが、元々、見えている物が違うのだから、わかるわけがないのです。

この物語でトムが軍人に憧れている話しをする。その後に、もっといいのはインディアンだと言う。バッファローを狩り、戦いに明け暮れ、いつの日にか大酋長になりたいと願うのだ。

しかし、現実のこの頃のアメリカはインディアン差別があった。
本作に登場する悪役のインジャン・ジョーの死に方は酷い。
というか、インディアンだから、インジャン・ジョーってのも酷い。
トムが最後のほうで洞窟で迷子になる。二次災害を防ぐため町で鉄の蓋を洞窟の入り口にしたため、そこに隠れていたジョーが死んでいたというのだ。
街の安全のためなら、人が死んでも仕方ない。ジョーみたいなインディアンの悪人なら当然なのだという考えが見て取れる。この町の独善性は何なのだろうか?。すごく違和感を感じる。

解説に、こんな文章があった。

共同体で正しいとされていることは、本当に正しいのか。違う場所に移動すれば、全く違う価値観があるのではないのか。
 これは子供か大人かでも違ってくる。人種によっても違う。日本人は、インディアンを差別なんかしない。

 ジョーは白人に対して憎しみを抱いていた。
 それは彼の吐いたセリフからも伺える。

あの野郎、俺を馬用の鞭で打たせやがったんだ!。牢の前で、馬用の鞭で!。二ガーみたいに!。村中の人間が見ている前でよ!。馬用の鞭だぞ!。わかるか?。え?。

トムの憧れていたインディアンは少しも理想的ではなかった。差別の対象で厳しい立場にあったのだ。

この物語で、もう1つ印象に残ったのはトムのしたたかさだ。

ペンキ塗りの仕事を友達に押し付ける時に使ったペテンは詐欺師のそれである。
そんなトムは他の二人と家出する。大人たちは心配する。戻って来た彼らを、さほど叱らない。
なのに、くだらないことで大人たちは叱る。すごい矛盾を感じた。

名言もあった。

何か欲しくてたまらない気持ちにさせるには、それを手に入れにくくさせてやればいい。
何かをしないと約束することは、まさにそのことをしたくてどうしようもない気持ちにさせる最も確実な方法である。

読み前のイメージと少し違ったが面白かった。


2020 4/21
令和2年冊64目
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