新宿歌舞伎町をベースに活躍する俳人の北大路さんの半自伝的エッセイ。



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キャラが強烈な人なのですが、半自伝的というわりに、その人生に深堀りした記述はなく。
それでも俳句という武器を片手に、言いたい放題しているわけで、それはそれで充分に楽しめます。武勇伝とかに近いジャンルですかね。俳句が随所に散りばめられていて、それが本書の魅力です。

著者は、新宿歌舞伎町を本拠にアウトロー俳人として活躍している人です。
見た目も言っていることも、私の父親世代ですが、1978年生まれなので、木村拓哉よりも、かなり若い。+-10年は同世代だと言われているから、私とも同世代です。

最初に、毛筆で自作の俳句をたくさん紹介してあって、これが迫力があった。
私は、俳句はよくわからんのですが、気になるものを紹介します。雰囲気だけでもアウトロー俳人を味わってください。

ウォシュレットの設定変へた奴殺す

5・7・5のルールなんで、ウォシュレットは便所と解釈するべきなのかな。
でも、この感覚は共感できるんだよね。俳句や、短歌は読み手の心の中で、どう響くかだから、これは、私にはいい作品。

エッセイの方ですが、俳句に絡めて文章を繰り出してくるパターン。
以下、気になったところを要約しました。

オッパブの話し・・・
足の指を舐めようとしたら、「おっぱい以外はダメだって・・・」

おっぱいを丸出しにして怒りたる


食べ物の趣味・・・

スタバに長居する若者は大嫌いだが、富士そばでさっと食事をすます中年は美しいと思う。
だいたい、珈琲もそばつゆも同じ色じゃないか?。

ずびずびと蕎麦をすすって花粉症


歯医者・・・

海月浮くやうに麻酔が効いて来る

歯科助手にかわいい子が多いと思うのはマスクをしている子が多いからだろう。


パチンコ・・・

台パンを一撃炎暑の街に出ず

台パンとは、パチンコの台にパンチすること。


恋人・・・

恋人というのはお互いの倫理観で縛りつけ合うつまらないルールだ。己に自信がないので「好き」を担保するためだけのお約束事を作るのだ。浮気なんかするに決まっているだろ。女遊びするために、頑張って働いているんだ。

凍らせてあるから恋が動かない


賛同できるものもあり、賛同できないものも多いのですが
北大路さんがアウトローと呼ばれているのには頷けます。
俳句と文章がよく合っていて心に響きます。

2020 4/15
令和2年60冊目
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半自伝的エッセイ 廃人
北大路 翼
春陽堂書店
2019-11-16