絵と文字のバランスがよく、陽気な性格のアンネが本から飛び出してくるようでした。



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アンネの日記のグラフィック版
文字の多い絵本かな
原作は昔に読んだ。
大切なところは、ほぼすべて網羅されている。これだけでも十分である。
陽気なアンネが絵から飛び出して来そうだった。

恋をしたり、同室の歯医者に腹をたてたり
大人たちの間で嫌な思いをしたり、姉に気を使ったり
父を愛したりと14歳の普通の少女なのだ。

ただ、見つかったらナチスに殺されるという境遇を除いてである。

狭い空間で、たくさんの人が生活していると腹もたつものだ。

自分の欠点は小さく見えるものだ。だから他人の欠点は批判しやすい。、他人のそれは二倍にも大きく見えるものだから。

考え方もしっかりしている。14歳の少女とは思えない。

同室のおじさんにむかつくので、つい嫌味が出る。

なんて生意気な!。あんたは子供の姿をしたおばさんだ!。

と言われるところが面白い。でも、14歳の少女の前で下着姿でうろつくのは、おっさんがデリカシーに欠けるのではとアンネに同情してしまうのでした。

恋人のペーターと屋上でのひととき・・・
景色を見ると、そこには・・・・

青空、葉に落ちたマロニエ、枝の露、飛ぶカモメ・・・すべてが生き生きとして・・・。
感動でしばらく口もきけません。

日常の景色が、特別に見えるのは、彼女たちが隠れて生活をしているからだ。
その閉塞感からのしばしの開放・・・。

どんな街角でも、盗まれた物がそのまま売られています。
週ごとの配給食糧は2日ともちませんし、だれもが栄養失調になっています。

ざっくりした記述だが、この文面から戦争の悲惨さが見てとれる。

 何故、人間は、ますます大きな飛行機、ますます強力な爆弾をつくりだしておきながら・・・。・・・一方では、復興のためのプレハブ住宅をつくろうとしたりするのでしょう?。
 どうして、毎日何百万という戦費を費やしながら・・・。・・・医療施設のために使うお金がぜんぜんない、などということが起こりうるのでしょう。
 どうして餓え死にしそうな人がいるのに・・・。・・・世界のどこかでは、食べ物がありあまって、くさらせているところがあるのでしょう?。

彼女の考えは正論だ。
この世界は矛盾している。

そして、男女差別にまで言及している。

結末は、悲劇だ・・・。
陽気な少女は、夢を夢想しながら、ナチスによって生命を断たれる。
それがナチスがやったこと。戦争なのである。
アンネの日記は絶対に読むべき本だ。
池上彰さんも言っていた。
これを読まずして、何を読むのか。

そして、本書は中学生にだって読めるように
絵をふんだんに使っている。
すごくとっつきやすい。
おすすめである。

2020 7/4
令和2年113冊目
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[グラフィック版]アンネの日記
アンネ・フランク
あすなろ書房
2020-05-18